常設展示の展示構成について
常設展示には
1. クロノロジカル(時系列)構成
時系列構成は、展示物を歴史的な流れに沿って配置する方法です。この構成では、訪問者は過去から現在までの変遷や発展を追体験することができます。歴史博物館や考古学博物館などでよく採用されています。
例)
国立科学博物館「地球館」:地球の誕生から現代までの地球史を時系列に展示しています。
日本歴史博物館:縄文時代から現代までの日本の歴史を時系列に展示しています。
東京国立博物館「東京国立博物館の歴史とコレクション」:博物館の歴史とともに、収蔵品が時系列で展示されています。
福岡市博物館「福岡の歴史展示」:福岡の歴史を原始から現代までの時代順に展示しています。
那覇市立博物館「沖縄の歴史」:沖縄の歴史を縄文時代から現代までの時代順に展示しています。
日本歴史博物館:縄文時代から現代までの日本の歴史を時系列に展示しています。展示では、時代背景や文化、生活様式、技術革新、戦争などのテーマを扱っています。
福岡市博物館:福岡の歴史を原始から現代までの時代順に展示しています。展示では、縄文・弥生時代、古代・中世、近世、近現代などのテーマを扱っています。
岐阜県博物館:岐阜の歴史を原始から現代までの時代順に展示しています。展示では、古代・中世、戦国時代、江戸時代、明治以降などのテーマを扱っています。
長崎歴史文化博物館:長崎の歴史を時系列に展示しています。展示では、南蛮貿易、幕末・明治維新、長崎とキリスト教、原爆被爆などのテーマを扱っています。
姫路市立博物館:姫路の歴史を時代順に展示しています。展示では、古代・中世、戦国時代、江戸時代、近代などのテーマを扱っています。
奈良国立博物館:奈良時代を中心とした日本の考古学的な展示を時代順に展示しています。古墳、寺院、宮殿、美術品などの展示があります。
熊本市現代美術館「水俣美術館」:水俣病をテーマに、水俣市が汚染される前から現在までの時代を追って、美術作品や資料を展示しています。
佐賀県立九州考古学センター:九州地域の古代から中世までの考古学的な展示を時代順に展示しています。古墳、寺院、宮殿、城、焼き物、織物、鉄器などの展示があります。
静岡県立中央博物館:静岡県内の先史時代から中世までの考古学的な展示を時代順に展示しています。縄文土器、弥生土器、古墳時代の埴輪、室町時代の焼き物、織物、武具などの展示があります。
高松市歴史博物館:高松市の歴史を先史時代から現代までの時代順に展示しています。古墳、城、寺院、産業革命、高松城などの展示があります。
2. テーマ別構成
テーマ別構成は、展示物を特定の主題やテーマに沿ってグループ化する方法です。この構成では、訪問者は特定のテーマに関連する展示物を一元的に学ぶことができます。科学博物館や自然博物館でよく採用されています。
例)
国立民族学博物館「日本の民俗」:日本全国の民俗に関する展示をテーマ別にまとめています。祭り、農耕、狩猟、漁業などのテーマがあります。
東京都現代美術館「東京ワンダーサイト」:現代美術をテーマに、アーティストの作品やインスタレーションを展示しています。
奈良国立博物館「大和文化」:奈良県を中心とした大和文化に関する展示をテーマ別にまとめています。仏像、古代鏡、古墳の副葬品などのテーマがあります。
横浜美術館「西洋美術」:西洋美術をテーマに、中世から現代までの絵画、彫刻、版画などを展示しています。
名古屋市博物館「工芸」:工芸品をテーマに、陶磁器、漆器、刀剣、鉄器、織物などの展示をテーマ別にまとめています。
科学博物館におけるテーマ展示とは
天文学:天文学をテーマに、星座や惑星、宇宙探査などの展示を行っています。
生命科学:生命科学をテーマに、DNA、細胞、生物多様性、進化などの展示を行っています。
物理学:物理学をテーマに、力学、熱力学、電磁気学、原子・分子などの展示を行っています。
化学:化学をテーマに、元素、反応、化学結合、化学工業などの展示を行っています。
ロボット工学:ロボット工学をテーマに、人工知能、自律移動ロボット、工場自動化、医療用ロボットなどの展示を行っています。
自然博物館におけるテーマ展示とは
地質学:地球の構造、地震、火山、岩石などをテーマにした展示を行っています。
動物学:動物の進化、分類、生態などをテーマにした展示を行っています。また、標本や映像による動物の紹介もあります。
植物学:植物の分類、生態、森林、植物の利用などをテーマにした展示を行っています。また、標本や映像による植物の紹介もあります。
昆虫学:昆虫の形態、生態、分類、役割などをテーマにした展示を行っています。また、標本や映像による昆虫の紹介もあります。
海洋学:海洋の生態系、深海、生物多様性などをテーマにした展示を行っています。
3. 地域別構成
地域別構成は、展示物を地理的な区分に基づいて配置する方法です。この構成では、訪問者は特定の地域や国に関連する展示物を学ぶことができます。民族学博物館や地域の歴史博物館などでよく採用されています。
4. ジャンル別構成
ジャンル別構成は、展示物をその種類や分類に基づいてグループ化する方法です。この構成では、訪問者は特定のジャンルに関連する展示物を一元的に学ぶことができます。美術館や工芸博物館でよく採用されています。
5. オブジェクトベース構成
オブジェクトベース構成は、展示物それぞれに重点を置き、個々の物語や背景を紹介する方法です。この構成では、訪問者は各展示物に対する理解を深め、個々の物語や意義を学ぶことができます。
これらの展示構成タイプは、博物館の目的や展示物の特性によって選択され、しばしば複数のタイプが組み合わされて使用されます。展示構成は、訪問者が展示物や情報を効果的に学ぶための重要な要素であり、展示デザインや館内のナビゲーションにも大きな影響を与えます。
例えば、
a) 国立民族学博物館(みんぱく)は、2. テーマ別構成と 3. 地域別構成を採用しています。
b) 国立西洋美術館では、1. クロノロジカル(時系列)構成と 4. ジャンル別構成を採用している。展示室は時代別に区別されている。また絵画・彫刻・美術・版画というジャンルで分けれれ、また時代に応じて展示されている
c) 東京国立博物館(とうはく)は、1. クロノロジカル(時系列)構成、2. テーマ別、3. 地域構成 を採用している。アジア美術館では、中国、朝鮮半島、東南アジア、南アジア、西アジアなどの地域ごとに展示
6. インタラクティブ構成
インタラクティブ構成は、訪問者が展示物と直接関与し、自分で発見や学びを進めることができる展示方法です。この構成では、インタラクティブな展示物や体験型のアクティビティを用いて、訪問者が能動的に学ぶことができます。科学博物館や子ども向け博物館でよく採用されています。
例)
国立科学博物館:「科学技術館」の常設展示では、さまざまな科学現象を体験できる展示や、科学実験ができる施設があります。
未来環境展示館 MIRAIKAN:「未来技術館」では、ロボットや人工知能などの最新技術に触れることができる展示があります。
東京都現代美術館:「東京ワンダーサイト」では、アーティストとの対話やインタラクティブな展示物が体験できます。
水族館アクアパーク品川:「ダイバーシティ東京プラザ内」にある水族館では、イルカやペンギンとのふれあい体験や、触れ合いタンクがあります。
7. ナラティブ構成
ナラティブ構成は、展示物をストーリーテリングの視点から整理し、物語を通じて情報を伝える方法です。この構成では、訪問者は物語に沿って展示物を学び、より深い理解や感情的なつながりを得ることができます。
例)
東京都現代美術館:「ストーリー・テリング展」などの展覧会が開催
国立科学博物館:「地球館」などの常設展示
国立国際美術館:「日本の美術1880-1940展」など、日本の美術史に関する常設展示
ニューヨーク近代美術館 (MoMA):「現代アート館」などの展示
ザ・ブリティッシュ・ミュージアム:「人類の物語」などの常設展示
パリ市立近代美術館:「20世紀コレクション」などの展示
これらの展示構成タイプは、博物館のコンセプトや展示物の特性、訪問者の関心や学習ニーズに応じて選択されます。適切な展示構成を採用することで、博物館は訪問者にとって魅力的で効果的な学びの場となります。また、これらの展示構成は単独で使用されることもあれば、複数のタイプを組み合わせて使用されることもあります。展示構成は、訪問者が展示物や情報を効果的に学び、理解を深めるための重要な要素です。